野点は、春や秋の季節のいいときに、野外で自然の風物に接しながら茶を点てることです。
古くは野掛(のがけ)といわれていました。
もともとは野掛は、戦国時代などの大名たちが、野遊びや狩を楽しむことをいいましたが、その野掛のなかで、茶会を楽しんだことから、野外で茶を点てたり茶会を催すこともまた、野掛と呼ぶようになりました。
茶道の大成者である有名な千利休の弟子が書いた「南方録」という茶道の秘伝書には、「ふすべ茶」
とも書かれています。
利休が豊臣秀吉と九州博多の箱崎で松林でお茶を点てたとき、松葉で湯を沸かし、松葉のふすんだ(くすんだ)煙の立ち上がる様がなんとも趣があったといわれています。
こうしたことから、「ふすべ茶」も、野点と同じ意味に使われていました。
野点(のだて)って、なあに ?
野点の楽しみ方
野点は、お客様をもてなす趣向のひとつです。
季節を楽しむふさわしい場所を選んだり、お客様をもてなすために心を配るところに、その楽しみと面白みがあります。
だから、取り立てて作法というものがありませんが、それだけに、茶の湯の世界では、むずかしいといわれています。
茶道の大成者である千利休の弟子の書いた秘伝書「南方録」には、清潔さや清浄さを大切にし、景色に心を奪われすぎてもいけないし、興がのりすぎて雑談のようになってもいけないので、よほどの名人でないとできない、と書かれています。
点前、道具とも定まった作法がないので、逆にそこにほんとうの重い作法があるのだといわれています。
秘伝書「南方録」には、それを「定法なきがゆえに定法あり」と書かれています。
それは、臨機応変さや自由自在の「心」が、もてなす方にないと、かえって楽しくないものになるからです。
このことは、野点に限らず、アウトドアで楽しむときは、臨機応変さや自由自在さがないと、面白みが半減することにも通じますね。
みなさんもあまり堅苦しく考えずに、自分なりの「野点」を見つけて、茶の湯を楽しんでください。